ドイツ式引き返し編みの解説と、いろいろなバリエーション
ドイツ式の引き返し編みは、いくつかある引き返し編みの技法の中でも簡単できれいな編地を作ることができる編み方です。
日本でよく使われる “掛け目、滑り目”の引き返し編みと同じ構造を持つ引き返し編みなのですが、その編み方は全くと言っていいほど違います。
今日は、そんなドイツ式の引き返し編み(German Short Row)について少し解説したいと思います。
ドイツ式引き返し編みの基本的な編み方
ドイツ式引き返し編みの編み方を簡単に説明すると、
1.糸を編地の前に持ってきて、左の針の1目を右の針に、裏目を編むようにして(Purlwise)滑ります。(滑るだけで実際には編まない)
2.そのまま次の目を表目で編みますが、糸が手前にあるので、針の上を超えて表目を編む感じになります。(裏の段では、糸は手前にあるものの、そのまま裏目を編むのではなく、表側で行うのと同じように針の上に糸を一周させて裏目を編みます。)
これによってできた目を ダブル目(Double Stitch)と言い、ドイツ式引き返し編みはこのダブル目を作り、編んでいくことで斜めのラインを編み出す方法です。
段消しはそのダブル目を編むことによって行います。
↑これは靴下のかかと部分ですが、両針の外側から6目までがダブル目です。
写真だとわかりにくいのですが、糸が二重のように見えるのがそれです。
↑ジャーマンショートロウで編むかかとの編み方を動画で解説してみました。(1:04くらいから始まります。)
参考にしてみてください^^
ドイツ式引き返し編みの良い点・悪い点
多くの引き返し編みに当てはまることですが、このドイツ式引き返し編みにもメリットとデメリットがあります。
何をもってメリット・デメリットとするかは人によって少しずつ違ってくるとは思いますが、私が思いつく限りは、以下のような点があげられます。
ドイツ式のメリット
・操作が簡単なこと
編み方が簡単なことは、ドイツ式の最大のメリットだと思います。
と言うのも、Wrap & Turn や「掛け目+滑り目」で編む日本式引き返し編みは、特に段消しの時に、編地の表側と裏側で操作方法が違ってきます。
しかしこのドイツ式引き返し編みにおいては、どちらの側でも「糸を前に持ってきて滑り、次の目を表目/裏目で編む」という単純な操作でダブル目を作り、段消しは、写真のようにダブル目を表編みあるいは裏編みで編むだけなので、とてもシンプルです。
ドイツ式のデメリット
・手加減によっては大きな隙間ができやすいので、手が緩い人には向かないかも
ダブル目を作るとき、写真にあるように、糸は思いっきり引っ張らないと隙間が開きやすくなりがちです。なので、糸に強いテンションをかけづらいフランス式で編む(=糸を左手に持って編む)方は、少し編みにくさを感じることがあるかもしれません。
・すごくきれいな編地になるというわけではない(靴下のかかとの場合)
これは靴下のかかとでよく感じることなのですが、左右の引き返し編みで若干見え方が違うので、見た目がすごくきれいと言うタイプの引き返し編みではないと思います。(構造的には日本式と全く同じなので、見え方も日本式に近い。)
かといって汚くもないので、私はドイツ式のかかと、気に入っています。
ちなみに私が今まで出会った中で、引き返し編みのラインがきれいで穴が開かない引き返し編みは この靴下を編んだときに出会ったWrap & Turn のアレンジバージョンでした。
が、正直ややこしくて大変な編み方ですので、私は覚えきれませんでした ^^;
https://cosythings.introvertful.com/3-different-short-row-methods/
↑平編みに関しては、以前比較のために3種類の引き返し編みを編んでみたことがあるので、こちらもぜひご覧下さい。平編みの場合は、ドイツ式が一番きれいに見えました。
靴下のかかとにおけるドイツ式引き返し編み
ここまで、ドイツ式引き返し編み(GSR)の編み方と特徴を説明してきましたが、靴下のかかとを編む時にこの引き返し編みを使うとすると、同じ「ドイツ式引き返し編み」と言う名前でも、その編み方は何通りかあります。
と言っても、編み方が大きく異なるわけではないので本当に微妙な違いなのですが・・・^^;
実際に何パターンか編んでみたので、次回はそれぞれどのように仕上がったかを比較してみたいと思います。